さつまいも

属性:ヒルガオ科サツマイモ属
ベニアズマ

【ベニアズマ】関東地方で生産が多い。皮は濃い赤紫色で中は黄色。ホクホク系。繊維が少なく口あたりがよく、甘みが強いため、青果用で根強い人気

ホクホク?ねっとり?売り場で選ぶ楽しみを

日本では古くから食糧不足の際の救荒作物として知られ、馴染み深い野菜のひとつ。用途に応じて品種が開発されているが、青果用の品種としては、紅あずまや高系14号のようなホクホクした食味のいもが主力となっている。このほか、ねっとりした食味の安納芋といった地方在来種や、果肉が紫色のパープルスイートロード、カロテンを多く含んでいるオレンジ色の人参芋など、カラフルな品種も一般消費者から注目されつつある。また、干しいもや、ツルを食べる葉柄専用の品種もある。これらの生産量のうち、生食用は約4割。残りはでんぷん用、焼酎などへの加工用、飼料用となっている。出回り時期は、新物が9月~11月。貯蔵物は翌年1月位から春まで。貯蔵物は、新物に比べ適度な水分の蒸発により甘みが濃いともいわれる。

POPはコレ!

  • 皮も一緒に食べて!おなかの調子を整えます
  • カロリーは白米の1/3。食物繊維もたっぷり!
  • じっくり焼くとあま~くなる秋の味覚

市場シェアと出回り時期

さつまいもの市場シェアと出回り時期

鮮度の見分け方

  • 皮にツヤがあり、肌がなめらかなもの
  • 傷や黒い斑点がないもの
  • ひげ根の穴が浅いもの
  • 切り口に蜜が出ているものは糖度が高い

最適な保存条件

最適保存条件は適温13℃、湿度90~95%で、貯蔵期間は4~6か月程度。家庭では、乾燥と低温に弱いため、新聞紙に包んでから冷暗所で保存するとよい。加熱すれば冷凍保存も可能。切ったものは、ラップで包み野菜室で保存したほうがよい。ただし、早めに使いきること。

栄養&機能性

食物繊維、ビタミンC、ヤラピン

切り口から出る白い粘液はヤラピンと呼ばれる成分で、緩下作用があり、食物繊維と合わせて便秘解消に効果があるといわれている。またでんぷんが多いため、その粘化作用によって加熱後のビタミンCの効能も期待できる。

ONE POINTアドバイス

  • ゆっくり加熱すると、でんぷんを糖に変える酵素が活性化するため、でんぷんの糖化が進み甘みが増す。この性質を利用して、甘みを十分に引きだしたい場合は、じっくりと蒸すかオーブン加熱をするとよい。
  • さつまいもを食べるとおならが出るといわれるのは、食物繊維が多く、糖分が発酵し、腸内にガスが発生しやすくなるため。皮には糖分を分解する酵素が含まれているので、皮を一緒に食べるとある程度ガスの発生を抑えることができる。
  • 同じ品種の場合、小ぶりのいものほうが甘みを感じやすいといわれる。このため、小ぶりのいもは焼きいもなどにし、太くて大きいいもは天ぷらなど、味をつける料理にするのがおすすめ。

売場づくりのポイント

  • 3本パックのものは長いものを真ん中に置いて、平らに並べるとよい。
  • 乾燥と低温に弱いため冷風に当てないようにする。
  • 切り口を見せる場合は、切り口と皮の肌ツヤがよく見えるように、ピッタリとラップすること。

Q&A

Q1 長く水にさらしてから煮たところ、いつまでも硬く、やわらかくならなかった。
A. いも類を水にさらしておくと、細胞膜にあるペクチンが水中の無機イオンと結び付いて、水を通さない丈夫な物質に変化する。このため、いもの細胞内部まで水が入り込めず、内部のでんぷんの糊化が妨げられ煮えにくいものとなってしまう。これを逆用したのが、千切りじゃがいもを妙める時、水さらしを行い、煮くずれを防ぐ調理法。
Q2 ゆでたら緑色に変色していたが、なぜ?
A. 皮に含まれるクロロゲン酸は、アルカリに合うと緑色に変色する。このため、重曹を加えて作る天ぷらなどでも起きる。ただし、ゆで方、水質、さつまいもの種類および品質などにより、緑変が出たり出なかったりする。

下ごしらえのポイント

  • きれいに仕上げたいときは、皮をむくときに、皮の内側にある太いスジの部分まで厚めに皮をむき、取り除くとよい。
  • 皮は食物繊維も豊富。捨てずに油で揚げてお菓子にしたり、きんぴらに利用するのがおすすめ。
  • アク抜きは、切った後に水で洗い、水にさらすとよい。きんとんや、スイートポテトなど、色をきれいに仕上げたい場合は10分程度、濁らなくなるまで水を換えながら行うとよい。
  • 水にさらすとビタミンCの流出が増えるため、色を気にしない料理の場合は2~3分でよい。

★オススメ料理

焼きいも/天ぷら/煮物/蒸し物/大学いも/いもご飯

知っておくべき流通事情

コールドチェーン確立のポイントは

 量販店中心の大型流通では週末型の販売が中心で、量販店から卸売市場業者への発注量も週末は平日の倍か、それ以上のケースも。だが生産者から卸売市場への出荷は需要量とは連動せず、休日の前後でも平日の2~3割増し程度で、量販店対応する仲卸は週末の大量納入に向けて平日からストックする。そのためコールドチェーンで重要なのは卸売場の低温化以上に、仲卸の保管・配送場所の低温化だ。
 なお、夏場に暑い卸売場に残されている商品があったとしても、それは“単なる売れ残り”にすぎない。

【品種紹介】

紅はるか

【紅はるか】皮は紅で中は白。やや粉質で、食感がなめらか。糖度も高いことから、焼きいも用として近年人気が高くなっている。干しいもにも加工される

きんとき

【きんとき】地方によって名前が異なる高系14号の系統。ホクホクだが、舌触りがなめらか。徳島県の「鳴門金時」石川県の「五郎島金時」などが有名

安納芋

【安納芋】鹿児島県種子島の特産。オレンジ色でねっとりとした食感が特徴。また、糖度がとても高く、甘みが強いため「蜜芋」とも呼ばれている

パープルスイートロード

【パープルスイートロード】アントシアニンを多く含み、皮も中身も紫色が特徴。生食のほか、ソフトクリームやケーキなどのお菓子の材料としても多く利用されている

大栄愛娘(だいえいまなむすめ)

【大栄愛娘(だいえいまなむすめ)】千葉県で栽培されている高系14号のブランド。ホクホクで、なめらかな舌触りが特徴。焼きいもにした後、冷めても硬くなりにくい

小金千貫(こがねせんがん)

【小金千貫(こがねせんがん)】主に南九州が産地で焼酎原料として利用されている。ホクホクとした食味で近年は青果用の需要も増加している。皮は淡黄色で中身は白色

シルクスイート

【シルクスイート】上品な甘みと、しっとりと絹のようななめらかな口当たりで近年人気。焼き芋に向くほか、線維が少ないためスイートポテトなどの材料としても使いやすい。

人参芋

【人参芋】オレンジはにんじんと同じカロテンで、その機能性が注目されている。主に加工品にされており、干しいもや干菓子などに利用されている

出典

改訂9版 野菜と果物の品目ガイド

発行・発売   株式会社 農経新聞社
写真撮影株式会社 スタジオアトム
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