トマト

属性:ナス科トマト属
トマト

色・機能性にも注目!糖度以外の魅力も伝えて

卸売市場の取扱金額ではトップのトマト。品種の主力は完熟系大玉トマトであるが、甘さや色、調理用途の異なる品種を、常に数種類そろえる小売店も多くみられる。特に糖度が高くコクのある中玉タイプがフルーツ感覚で利用され、店頭では糖度表示も一般的に。そのほかカットの手間がないミニトマト、イタリア料理に使う加熱調理用トマトの人気も高い。加熱調理用の品種は、うま味成分を多く含み、果肉が厚くゼリー部分が少ないものが多く、おでんや鍋物など和食にも利用されている。近年は、赤色の色素であるリコペンを持たない緑色や黄色の品種や、アントシアニンを含む紫色や黒色といった色の変わった品種、原種または原種に近い品種も一部取り入れられており、さまざまな品種を詰め合わせたものが、贈答用として人気になっている。

POPはコレ!

  • 緑に黄色にオレンジ。彩りサラダはいかが?
  • オリーブオイルプラスでリコペン吸収UP!
  • 味噌汁の具にトマト!なんと相性抜群です!

市場シェアと出回り時期

トマトの市場シェアと出回り時期

鮮度の見分け方

  • 色むらがなく、ツヤとハリがあるもの
  • 全体に硬くしまり、丸みがあるもの。果実が角張っているものは空洞果であることが多い
  • ヘタが緑色で切り口が新鮮なもの
  • ヘタの近くがひび割れているものは味が悪い
  • 果皮に白い細かな斑点が浮き出ているものは、水分過多の「水ぶくれ」で、糖度が落ちる

最適な保存条件

最適保存条件は、熟したものは温度2~7℃、湿度85~90%で4~7日程。未熟のものは温度10℃、湿度85~90%で2週間程貯蔵可能。家庭ではパックのまま冷蔵庫の野菜室へ。青い部分が残っている場合は、常温での保存がよい。

栄養&機能性

リコペン、ビタミンC、ビタミン

赤い色素はリコペンと呼ばれ、抗酸化作用があり、がんや生活習慣病の予防が期待されている。脂溶性のビタミンEを同時に摂ると吸収が高まるため、オリーブオイルとの相性がよい。また、免疫機能を高める効果があるカロテンを含んでいるほか、体内のナトリウムを排出するカリウムも含んでいる。

ONE POINTアドバイス

  • 調理用トマトは皮が厚いため、ソースにするときは皮をむいたほうがよい。また、種を取り除くと水っぽくならない。
  • 熟すとうま味のもとであるグルタミン酸が多くなるため、青いものは室温で熟させるとよい。
  • オーブンなどでドライトマトにすると、スープやソースの隠し味など調味料として利用できる。
  • 皮を湯むきした後フルーツリキュールをかけると、甘さが引き立ちデザートに。
  • たくさんあるときは、トマトソースににして保存するほか、丸ごと冷凍もできる。冷凍した場合は、スープやカレーなどに使うとよい
  • 加熱したトマトとオリーブオイルを同時に摂ると、生食だけの場合と比べ、約4倍もリコペンを補給できる。

売場づくりのポイント

  • トマトの赤は目立つため、食欲や購入意欲を刺激するといわれている。入口近くに色や形などバラエティ豊かに数品種揃え、華やかな演出で客をむかえる演出は効果的。
  • 色や形が変わった品種を扱う場合は、複数取り揃えると見栄えがよい。
  • 色づきのよいものは冷ケース、色づきの悪いものは非冷ケースに陳列して追熟させる。
  • 力を加えると果肉がぶよついてくるので注意。特に果頂部が弱いため、果頂部を上向きに並べる。

Q&A

Q1 苦いトマトがあったが、農薬の影響?
A. 農薬ではなく、日照不足、肥料(窒素)が多かった、土の水分が異常に多かったなどが考えられる。
Q2 洗ったら水が赤く染まった。
A. トマトの開花時に着果ホルモンを花房に噴霧することがある。このホルモン剤には、噴霧した花房と未噴霧のものを区別するための合成着色料が入っている。この色素が濃いと、トマトのヘタなどに色素が残り、洗った時に溶け出したため水が赤く染まったと考えられる。
Q3 生食用トマトの中が空洞だが大丈夫?
生食用のトマトの空洞は、果実が大きくなる時期の養分不足であることが考えられる。できるだけ重量のあるものを選びたい。
Q4 調理用トマトの中が空洞だが大丈夫?
調理用トマトの中には空洞の品種がある。加熱しても水分が少なく形が崩れにくい。イタリアでは空洞を活かし、中に詰め物をする料理もある。
Q5 調理用トマトは生でも食べられる?
海外では調理用トマトも生食で利用しているので問題なく食べることができる。

下ごしらえのポイント

  • 皮のむき方は大きさに合わせて2通りある。大玉はヘタにフォークを刺し、直火で焼いたあと、冷水にとって皮をむくとむきやすい。
  • 中玉やミニトマトの皮をむくときは、ヘタを取り除きを沸騰したお湯にくぐらせて5~10秒ほど浸し、皮がめくれたら氷水にとって皮をむく。
  • 冷凍保存するときは、解凍する過程で皮を簡単にむくことができるため、皮つきのままでよい(ただしヘタは取り除いておくこと)。

★オススメ料理

サラダ/ソース/トマト煮/シチュー/スープ/味噌汁

コラム

ブルートマト日本で開発

 種苗会社ブリティッシュシード(岐阜県)が、抗酸化作用があるアントシアニンを含む濃い紫色の「ブルートマト」を開発した。アントシアニンを含むトマトは海外の品種にはあるが、国内で交配されたのは珍しい。直径7~9㎝の「マスター」、2~3.5㎝の「セリセ」、房状に実がなる「カラント」の3品種の苗が、2013年より「ブルートマト聖鳳コレクション」として販売開始。アントシアニンを多く含むトマトとして機能性が注目されている。

【品種紹介】

ファースト

【ファースト】頭が鋭くとがるのが特徴。果肉は硬めだがジューシーでコクがある

桃太郎

【桃太郎】桃色系丸玉トマトの主流。果肉が硬めで、熟してから収穫される

フルーツトマト

【フルーツトマト】品種ではなく、糖度の高い中玉トマトの総称。水分を抑えて栽培される

桃太郎ゴールド

【桃太郎ゴールド】橙色に近い黄色丸玉系トマト。ややくせがあり、体内に吸収されやすいリコペンを含む

黄寿(おうじゅ)

【黄寿(おうじゅ)】黄色の大玉トマト。ニンジンに含まれるカロテンの風味がある。酸味が少なく糖度が高い

アメーラ

【アメーラ】静岡で開発された高糖度のブランドトマト。栽培管理によって桃太郎の糖度を上げている

サンマルツァーノ

【サンマルツァーノ】イタリアのトマトの代表品種。トマトソースなどに使われる調理用。うま味成分を多く含み酸味が強い

フィオレンティーノ

【フィオレンティーノ】菊形トマト。イタリアではフィレンツェ地方で古くから栽培されている伝統品種。調理、生食向き

アメーラルビンズ

【アメーラルビンズ】プラム型で、皮は硬めだが、高糖度。水やりを控えて作る

房トマト

【房トマト】ミニトマトよりもやや大きめで、房つきで販売されている

グリーンゼブラ

【グリーンゼブラ】緑の縞模様が特徴。果肉が硬めで、ピクルスやジャムなどにも

ブラックショコラ

【ブラックショコラ】茶色がかった赤。アントシアニンを含んでいる。果肉がしっかりしており、揚げ物にも

アンデス

【アンデス】ごつごつした唐辛子のような形が特徴。果肉が厚く硬め。皮がむきやすく種が少ないので、加熱調理に向く。甘みは少ない

イエローキャバーン

【イエローキャバーン】パプリカのように角ばっており、オレンジに近い鮮やかな黄色。中に空洞があり詰め物に

ローマンズゼブラ

【ローマンズゼブラ】赤と黄色の縞模様。果肉は赤い。硬めだが、生食向き

クマト

【クマト】中玉でチョコレート色をしている。果肉が厚く、ジューシーで生食向き(メキシコ産)

ストライプドキャバーン

【ストライプドキャバーン】角ばっており、赤と黄色の縞模様が特徴。果肉が厚く硬いため、詰め物などに使える

ローマ

【ローマ】長卵形で肉質は硬め。味が濃く煮込み料理に向く調理用トマト。アメリカからの輸入が多い

ヴィオラ

【ヴィオラ】細長く、色は赤に、やや緑色が残る。そのためチョコレート色にも見えることがある。皮はやや硬め。生食にもできるが、加熱すると甘みが増す。

アイコ

【アイコ】プラム型。赤と黄の2種類がある。生食にも調理にも向く

華スイート

【華スイート】やや赤みのあるオレンジ色。ほどよい酸度がありさっぱりとしている

華クイン

【華クイン】皮がやわらかく、甘みが強い。他のミニに比べてやや大きめ

シシリアンルージュ

【シシリアンルージュ】イタリア人ブリーダーが開発。濃厚でドライ加工や加熱にも向く

コンチェルト

【コンチェルト】鮮やかな赤で、細長い形。やや皮が硬め。グレープトマトとも呼ばれる。アメリカからの輸入が多い

トマトベリー

【トマトベリー】ハート形のミニトマト。臭みがなく皮もやわらかい。生食向き

イエローミミ

【イエローミミ】黄色系ミニトマトの代表選手。フルーツ感覚の甘さが特徴で、彩りトマトの中に是非入れたい品種

ピッコラカナリア

【ピッコラカナリア】オレンジ色はカロテンによるもの。濃厚でとろけるような食感がある

トスカーナバイオレット

【トスカーナバイオレット】抗酸化作用で話題のアントシアニンが含まれている。ぶどうのような色が特徴

マイクロトマト

【マイクロトマト】直径が1cmより小さい。房つきで販売される。料理の飾りに

グリーントマト

【グリーントマト】完熟しても赤くならない品種で、緑の濃いものと、やや白みがかったグリーンのものがある。糖酸比のバランスが良いものが多い

出典

改訂9版 野菜と果物の品目ガイド

発行・発売   株式会社 農経新聞社
写真撮影株式会社 スタジオアトム
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