優秀なエネルギー源!メニューに向く品種提案を
食味や色は、品種により多種多様。料理によって使い分ける一般消費者も多くなっている。販売では味の違いとともに、どのような料理に向くかをしっかり伝えることがポイントとなる。
生産上は生食用のほか、ポテトチップス等に利用される加工用、片栗粉の原料になるでんぷん用に分けられる。多くはでんぷん用で生食用は2割程度。生食用では、男爵やキタアカリに代表されるホクホクした粉質系と、メークインやニシユタカに代表される煮崩れしにくい粘質系がある。
「新じゃが」とは品種の名前ではなく、掘りたてのじゃがいもを指す。どの品種の新じゃがいもも、色が淡く薄皮がところどころめくれている。皮が薄く火の通りがよいが、でんぷん量が少ないため、やや水っぽく感じることが多い(102ページのコラムも参照)。
POPはコレ!
- ごはんよりも低カロリー。ヘルシーな炭水化物
- 熱してもこわれにくい。ビタミン類たっぷり!
- 季節限定のおつまみ!新じゃがの丸ごとフライ
市場シェアと出回り時期
鮮度の見分け方
- 芽が出ておらず、皮が薄く、シワのないもの
- 丸く、ふっくらとして、大きすぎないもの
- 見た目よりもずっしりとしているもの
- 色が均一で、皮が緑に変化していないもの
最適な保存条件
一般食用の適温は3~5℃、加工用は7℃以上、適湿度は90~95%で、貯蔵期間6~8か月。家庭では、新聞紙に包み通気性のよいところで保存する。5℃位の冷暗所がよい。その際、りんごをひとつ入れておくと、りんごから発生するエチレンガスの作用により芽が出にくくなる。カットしたものは、ラップで包み冷蔵庫の野菜室へ。早めに使いきること。
栄養&機能性
ビタミンC、カリウム、でんぷん
新しいものはみかんと同じくらいのビタミンCが含まれているため、200g食べれば1日の必要量に達する。加えて、じゃがいものビタミンCは、熱を加えてもでんぷんに守られて破壊されないという特徴がある。またビタミンB1やB6、ナイアシンなど、その他のビタミン類も豊富に含み、フランスでは「大地のりんご」とも言われている。
ONE POINTアドバイス
- 皮をむいてひと口大に切るなどして煮る場合、大きいものは4等分。小さいものは半分にした後T字の三等分にして形を切りそろえるとよい。切った後、水にさらすと煮崩れを予防できる。もしくは、面取りをするとよい。
- コロッケなどを作るときは、ゆでる際に必ず皮つきで、水からゆでること。また、ゆであがった後に皮をむくことでビタミンCの損失が少なくなる。ホクホク感を出すには、熱いうちに粘りを出さずにつぶすのがコツ。
- 粉ふきいもを作るときは粉質のいもを使用し、ゆでるときに塩を入れない。塩は粉をふきにくくする。
- じゃがいもは芽を出すために、でんぷんを糖に変える性質があるため、芽の出る直前が最も糖度が高いといわれている。
売場づくりのポイント
- 0℃で保存すると低温障害を受けて内部が褐変したり空洞状態となるため、7~10℃の冷蔵ショーケースでの販売が望ましい。
- 乾燥によるしなびを防ぐため、フィルム包装がよい。ネット詰めは風の影響に注意すること。
- 強い光が当たると緑色に変色し、食中毒などをひき起こすソラニンが生成される。
Q&A
Q1 | 輪切りにしたら、皮の内側が外皮に沿って茶色い輪のようになっていて、硬くなっているがなぜ? |
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A. 典型的な青枯れ病の症状であると思われる。厚く皮をむけば食べることができる。 | |
Q2 | 切ったら中に、黒い点が走っていたが大丈夫? |
A. 黒点は輪腐病によるものと思われる。食べない方がよい。 | |
Q3 | 切ったら、内部が黄色くなっていたが食べられる? |
A. 発芽時期を迎えると、発芽する部分を中心に表皮より約1cm内部が黄~茶色味を帯びてくる。これは発芽に備えた生理現象である。芽を取り除けば食べることができる。 | |
Q4 | 中心に空洞があり、その周辺が黒く変色していた。食べても大丈夫? |
A. 成育完了後の降雨で大量の水分を吸収、肥大した場合に見られる生理障害のひとつ。空洞部を取り除けば食べることができる。 | |
下ごしらえのポイント
- 芽が出ているじゃがいもも、芽を取り除けば食べることができる。ただし、芽とその周辺には食中毒をおこすソラニンが含まれているため、芽のつけ根ごとくり抜いてから調理を始めるとよい。
- 切り口は空気に触れると黒っぽく変色するので、切ったらすぐ水で洗い、あらためて5~10分水にさらすと、アクとでんぷんが取れて煮崩れ防止になる。
- ゆでる場合は、丸のまま皮をむかないほうが、ビタミン類の流出を防ぐことができる。ゆでた後の保存は冷蔵庫で行うこと。ゆでたものをそのまま冷凍すると、中の水分が凍り食感が悪くなるため、あらかじめつぶしてから冷凍するとよい。
★オススメ料理
煮物(粘質)/揚げ物/蒸し物/粉ふきいも(粉質)
コラム
新じゃがって品種?
新じゃがとは、掘りたての状態で選果・出荷され、市場に出回るじゃがいもを指す。作型により出荷時期はそれぞれだが、3~5月に出荷される長崎県や鹿児島県等の暖地産、7月に出荷される北海道産のものが有名である。
品種に違いはあるものの、食味は皮が薄く、みずみずしいという共通した特徴を持っており、小ぶりのサイズを活かし、皮つきのままフライにしたり、皮ごと煮っころがしにするのがおすすめの食べ方。
【品種紹介】
出典
改訂9版 野菜と果物の品目ガイド
発行・発売 | 株式会社 農経新聞社 |
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写真撮影 | 株式会社 スタジオアトム |
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