じゃがいも

属性:ナス科ナス属

男爵

【男爵】日本のじゃがいもの先駆けであり、代表品種。球形で皮も中身も白に近い黄色。粉質でホクホクしており、ポテトサラダや粉ふきいもに向く

メークイン

【メークイン】粘質じゃがいもの代表品種。長卵型で芽が少なく皮がむきやすい。また、ち密な粘質で煮崩れしにくいため、カレーや煮物に根強い人気がある

優秀なエネルギー源!メニューに向く品種提案を

食味や色は、品種により多種多様。料理によって使い分ける一般消費者も多くなっている。販売では味の違いとともに、どのような料理に向くかをしっかり伝えることがポイントとなる。
生産上は生食用のほか、ポテトチップス等に利用される加工用、片栗粉の原料になるでんぷん用に分けられる。多くはでんぷん用で生食用は2割程度。生食用では、男爵やキタアカリに代表されるホクホクした粉質系と、メークインやニシユタカに代表される煮崩れしにくい粘質系がある。
「新じゃが」とは品種の名前ではなく、掘りたてのじゃがいもを指す。どの品種の新じゃがいもも、色が淡く薄皮がところどころめくれている。皮が薄く火の通りがよいが、でんぷん量が少ないため、やや水っぽく感じることが多い(102ページのコラムも参照)。

POPはコレ!

  • ごはんよりも低カロリー。ヘルシーな炭水化物
  • 熱してもこわれにくい。ビタミン類たっぷり!
  • 季節限定のおつまみ!新じゃがの丸ごとフライ

市場シェアと出回り時期

じゃがいもの市場シェアと出回り時期

鮮度の見分け方

  • 芽が出ておらず、皮が薄く、シワのないもの
  • 丸く、ふっくらとして、大きすぎないもの
  • 見た目よりもずっしりとしているもの
  • 色が均一で、皮が緑に変化していないもの

最適な保存条件

一般食用の適温は3~5℃、加工用は7℃以上、適湿度は90~95%で、貯蔵期間6~8か月。家庭では、新聞紙に包み通気性のよいところで保存する。5℃位の冷暗所がよい。その際、りんごをひとつ入れておくと、りんごから発生するエチレンガスの作用により芽が出にくくなる。カットしたものは、ラップで包み冷蔵庫の野菜室へ。早めに使いきること。

栄養&機能性

ビタミンC、カリウム、でんぷん

新しいものはみかんと同じくらいのビタミンCが含まれているため、200g食べれば1日の必要量に達する。加えて、じゃがいものビタミンCは、熱を加えてもでんぷんに守られて破壊されないという特徴がある。またビタミンB1やB6、ナイアシンなど、その他のビタミン類も豊富に含み、フランスでは「大地のりんご」とも言われている。

ONE POINTアドバイス

  • 皮をむいてひと口大に切るなどして煮る場合、大きいものは4等分。小さいものは半分にした後T字の三等分にして形を切りそろえるとよい。切った後、水にさらすと煮崩れを予防できる。もしくは、面取りをするとよい。
  • コロッケなどを作るときは、ゆでる際に必ず皮つきで、水からゆでること。また、ゆであがった後に皮をむくことでビタミンCの損失が少なくなる。ホクホク感を出すには、熱いうちに粘りを出さずにつぶすのがコツ。
  • 粉ふきいもを作るときは粉質のいもを使用し、ゆでるときに塩を入れない。塩は粉をふきにくくする。
  • じゃがいもは芽を出すために、でんぷんを糖に変える性質があるため、芽の出る直前が最も糖度が高いといわれている。

売場づくりのポイント

  • 0℃で保存すると低温障害を受けて内部が褐変したり空洞状態となるため、7~10℃の冷蔵ショーケースでの販売が望ましい。
  • 乾燥によるしなびを防ぐため、フィルム包装がよい。ネット詰めは風の影響に注意すること。
  • 強い光が当たると緑色に変色し、食中毒などをひき起こすソラニンが生成される。

Q&A

Q1 輪切りにしたら、皮の内側が外皮に沿って茶色い輪のようになっていて、硬くなっているがなぜ?
A. 典型的な青枯れ病の症状であると思われる。厚く皮をむけば食べることができる。
Q2 切ったら中に、黒い点が走っていたが大丈夫?
A. 黒点は輪腐病によるものと思われる。食べない方がよい。
Q3 切ったら、内部が黄色くなっていたが食べられる?
A. 発芽時期を迎えると、発芽する部分を中心に表皮より約1cm内部が黄~茶色味を帯びてくる。これは発芽に備えた生理現象である。芽を取り除けば食べることができる。
Q4 中心に空洞があり、その周辺が黒く変色していた。食べても大丈夫?
A. 成育完了後の降雨で大量の水分を吸収、肥大した場合に見られる生理障害のひとつ。空洞部を取り除けば食べることができる。

下ごしらえのポイント

  • 芽が出ているじゃがいもも、芽を取り除けば食べることができる。ただし、芽とその周辺には食中毒をおこすソラニンが含まれているため、芽のつけ根ごとくり抜いてから調理を始めるとよい。
  • 切り口は空気に触れると黒っぽく変色するので、切ったらすぐ水で洗い、あらためて5~10分水にさらすと、アクとでんぷんが取れて煮崩れ防止になる。
  • ゆでる場合は、丸のまま皮をむかないほうが、ビタミン類の流出を防ぐことができる。ゆでた後の保存は冷蔵庫で行うこと。ゆでたものをそのまま冷凍すると、中の水分が凍り食感が悪くなるため、あらかじめつぶしてから冷凍するとよい。

★オススメ料理

煮物(粘質)/揚げ物/蒸し物/粉ふきいも(粉質)

コラム

新じゃがって品種?

新じゃがとは、掘りたての状態で選果・出荷され、市場に出回るじゃがいもを指す。作型により出荷時期はそれぞれだが、3~5月に出荷される長崎県や鹿児島県等の暖地産、7月に出荷される北海道産のものが有名である。
品種に違いはあるものの、食味は皮が薄く、みずみずしいという共通した特徴を持っており、小ぶりのサイズを活かし、皮つきのままフライにしたり、皮ごと煮っころがしにするのがおすすめの食べ方。

【品種紹介】

キタアカリ

【キタアカリ】皮は黄色、中身が色味の強い黄色でカロテンを含む。粉質で食味が良いが皮肌がやや粗い。ホクホクの粉質なので、ジャガバター等に

ホッカイコガネ

【ホッカイコガネ】フレンチフライなどの加工用に利用される。皮は黄褐色、中身は黄色で長楕円形をしている。粉質でホクホクしており、加熱後の褐変も少ない

きたかむい

【きたかむい】姿は男爵に似ており、球形で皮も身も白に近い黄色。煮崩れしにくく皮もむきやすい。粉質と粘質の中間くらいで、ポテトサラダに向いている

ノーザンルビー

【ノーザンルビー】皮も身も赤みのある紫色。やや粘質で、男爵よりも煮崩れしにくい。熱を加えた後も色が変わりにくく、フライにも向いている

インカルージュ

【インカルージュ】インカのめざめの変異。皮は濃い赤で中身は色味の強い黄色。ナッツのような風味となめらかな舌触りが特徴。調理後の褐変が少なく煮物に向く

インカのひとみ

【インカのひとみ】皮が赤、中身は黄色。皮には、アーモンド型(目の形にも見える)斑紋がある。果肉は栗のような風味。粘質のため、煮崩れが少ない

インカのめざめ

【インカのめざめ】南米アンデスが原産。皮は淡黄色で、中身は黄色。やや粘質で栗のような甘みがある。芽が出やすいので冷蔵庫での保存が望ましい

レッドアンデス

【レッドアンデス】南米アンデスの原種から育種された。粉質系で皮は赤く中身は黄色。キリンビールが開発した「ジャガキッズ」シリーズのもとになった品種

紅丸

【紅丸】皮は薄赤色で中身は白色だがまれに赤い筋が入る。収量が多い品種で、主にでんぷん用に利用されている。甘みがあるため生食に利用されることも

シャドークイーン

【シャドークイーン】アントシアニンを多く含み、皮も身も青みのある紫色になる。芽が浅いので皮がむきやすい。煮物にするとやや煮崩れするが、揚げ物に向く

ジャガキッズパープル

【ジャガキッズ パープル】皮が紫で身は黄色。果肉に紫色の筋が入ることがある。食味などの特性はジャガキッズレッドに同じ

ジャガキッズレッド

【ジャガキッズ レッド】皮は赤で身は黄色。食味はホクホクとネットリの中間。火の通りが早く煮崩れしやすい。舌触りがなめらかでポテトサラダなどに向く

マチルダ

【マチルダ】芽が浅く皮がむきやすい。小型の卵型で見た目もよい。形を活かし、ホールポテトなどに丸ごと加工され、冷凍で販売されることが多い

レッドムーン

【レッドムーン】皮は赤で身は黄色。粘質で煮物に向く。長卵形で形や特徴がメークインに似ていることから、別名レッドメークインとも呼ばれている

デジマ

【デジマ】皮も中身も淡黄色。やや粘質で甘みがある。サラダ、煮物、揚げ物など様々な用途に向き、暖地のじゃがいもの中で人気が高い

シェリー

【シェリー】フランスで育種された長卵形のじゃがいも。皮は赤く中身は白。フランスではグリルやココット料理に使われ、赤皮の中でも人気がある

ニシユタカ

【ニシユタカ】多収の春作用品種。皮は黄色、中身は淡黄色。芽が浅く、ゴツゴツしていないため皮がむきやすい。粘質で煮崩れしにくいため、煮込み料理に向く

アイユタカ

【アイユタカ】長崎県がデジマと長系108号を交配して開発。ビタミンCの含有量が多い。火が通りやすく、しっとりとしたなめらかな食感で、スープやポテトサラダ等の料理に向く

出典

改訂9版 野菜と果物の品目ガイド

発行・発売   株式会社 農経新聞社
写真撮影株式会社 スタジオアトム
  • 大阪市市況情報地図情報における野菜と果物の写真並びに本ページは、大阪市中央卸売市場が株式会社農経新聞社の著作権の利用許諾を受けて複製し、公衆送信を行っております。
  • 本ページの内容の私的利用を除く、無断での複製(印刷・コピー等)・転載・出版・配布(無償を含む)は、書籍発行・発売元で著作権者の株式会社 農経新聞社の著作権の侵害となります。一部引用する場合は、必ず「出典 改訂9版 野菜と果物の品目ガイド」と明記して下さい。
  • ただし、POPの例は売場や企画書などでご自由に参考にできるものとし、出典の記載も不要です。
  • 出典の書籍に、万一、誤植・誤記などがあった場合には修正箇所を株式会社 農経新聞社ウエブサイト(http://www.nokei.jp)で掲載しております。