
世界では加熱調理も一般的。食べ方の幅を広げて
シャキッとしており、何にでも合わせやすい万能野菜。品種が多く存在するが、クリスプヘッド型(結球型)、非結球型、バターヘッド型、立ち型に分類できる。主力はレタスの代名詞となっている結球型と、サニーレタスなどに代表される非結球型。結球レタスは外食産業には欠かすことのできない野菜のひとつで、一般家庭においてもサラダの素材として消費は定着している。一方の非結球レタスは、葉がやわらかいため肉などを巻いて食べる料理によって消費が伸びており、焼き肉専用の葉だけを商品化したサンチュなども出回っている。バターヘッド型はサラダ菜などで、立ち型はシーザーサラダなどに使われるロメインレタスに代表される。他に、葉ではなく茎を食用とする茎レタス(茎ちしゃ)があり、乾燥させて「やまくらげ」などの加工品に多く利用されている。
POPはコレ!
- 加熱してたっぷり摂取。しゃぶしゃぶがおすすめ
- 肉やピラフを巻いて今夜はホームパーティー
- 芯に甘みとうま味。さっと湯がいて味わって
市場シェアと出回り時期
鮮度の見分け方
- 切り口は小さい方がよく、10円玉の大きさが目安で、押してへこむものが新鮮
- 持ったときに、見た目よりも軽いもの
- みずみずしく、弾力があるもの
- 結球レタスは葉に色ツヤがあり、全体に巻きがふんわりとしているもの
- 結球レタスは淡緑色の方が、収穫時期が適正で食味がよい。濃緑色の葉は苦味がある可能性が高い
- 非結球レタスは葉先の色が鮮やかなものがよい
最適な保存条件
適温0℃、適湿度90~95%で貯蔵期間は約20日。長期貯蔵はコンテナにポリシートを敷き、レタスを詰めて四方から折り込んで0~2℃に置けば2~3週間の販売延長が可能である。家庭では切り口に湿らせたキッチンペーパーを当て、外皮でくるみ、ポリ袋に入れて野菜室へ。
栄養&機能性
ビタミンK、カリウム、葉酸
ビタミンKは骨の形成に関わり、骨粗しょう症を予防する効果があるといわれている。食物繊維が豊富に思われるが、100g中わずか1.1g(総量)にすぎず、野菜の中でも少ない。「食物繊維が豊富」とPRすることは不適当とみられるので注意。
ONE POINTアドバイス
- 半分に切ったものは切り口にレモン汁をつけ、切り口が空気と触れないようぴったりとラップするか、水につけておくとよい。
- さっと湯をかけてしんなりさせ、いろいろな具を包む食べ方は簡単なうえに、生の時よりもカサが減るため、量を多く食べることができる。
- 中国料理では炒め物に使われることが多く、牛肉とオイスターソース炒めにしたり、クリーム煮やスープの具にするとおいしい。
- 手巻き寿司にしたり、大皿に盛ったピラフを包んで食べれば、パーティーメニューに最適。
- 甘みのある芯も捨てずにスライスして、湯がけばサラダに使用できる。
売場づくりのポイント
- 品質が低下すると、外葉の葉先のしおれ、変色、太い葉脈部の腐敗、軟化、切り口の褐変が見られる。
- 貯蔵中に外葉の鮮度が良好でも、1~2枚むいた中の葉に軟腐病が発生していることがしばしばあるので、貯蔵品の販売には充分に注意すること。
- 芯の切り口に10%の酢水にひたしたタオルを当てると、乳液の流出が止まる。
- 傷から褐変を起こしやすいので、取り扱いには充分注意する。
- 産地によりフィルムパック、裸物の場合がある。産地の移行期には注意。
- 裸物はフィルムで直巻きする。芯と反対側の面からフィルムをかけてぐるりと回し、両側面でそれぞれ余分なフィルムを処理する。
Q&A
Q1 | 苦くて食べられない。農薬が付着しているの? |
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A. レタスは、ヨーロッパの野生のトゲチシャを改良したものであるが、この野生種には、苦味成分としてセスキテルペンラクトンが含まれており、このレタスにも多く含まれていたと考えられる。 | |
Q2 | 中心部のみが腐敗している。 |
A. 冬場にレタスを腐敗させる土壌細菌が繁殖したと考えられる。これに被害を受けたレタスは、低温のため全体に腐敗が進行せずに、往々にして内部のみが腐敗することがある。外見上は正常品と区別できないため、販売されてしまうことがある。 | |
下ごしらえのポイント
- 丸ごと使う場合は、芯をくりぬき、その穴から水を流し込みながら洗うとよい。
- 包丁で切ると細胞が押しつぶされ、また鉄分と反応して苦みが強くなり、切り口も褐色に変わるため、鉄の包丁を使わないのが基本。
- サラダなどに使うときは1枚ずつはがして洗ってから、食べやすくちぎる。
- 食べる前にシャキッとさせたいときは、ちぎったものを冷水につけるとよい。
- 千切りにする際は、ステンレスの包丁を使うこと。切った後はすぐに酢やドレッシングなどで味付けをすれば変色を防ぐことができる。
- 加熱する場合は短く。炒める場合は一瞬で。湯がく場合は湯にくぐらす程度で。
★オススメ料理
サラダ/巻物/炒め物/炒飯/スープ
知っておくべき流通事情
安定価格の植物工場
植物工場は、植物の生育に必要な環境をできるかぎり人工的に制御し、周年生産を目指す施設とそのシステムのこと。環境制御の仕様は様々で、LED照明や空調、養液供給等により完全に環境を制御した閉鎖環境をつくる「完全制御型」や、温室等の半閉鎖環境で太陽光の利用を基本として、雨天・曇天時の補光や夏季の高温抑制などを行う「太陽光利用型」がある。今後は作物が育ちにくい砂漠などで、その技術が期待される。
レタスは植物工場で栽培しやすい野菜のひとつ。天候に関わらず、安定供給ができ、病害虫も防げるため歩留まりも高い。そのため外食産業では経費削減につながると引き合いが高まっている。しかし、同じ品種のレタスでも、普通栽培と比べるとふわっとした食感になるため、一般販売では食味の差別化をどのように伝え、消費者の心をつかむかが課題となっている。
【品種紹介】
出典
改訂9版 野菜と果物の品目ガイド
発行・発売 | 株式会社 農経新聞社 |
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写真撮影 | 株式会社 スタジオアトム |
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