温州みかん

属性:ミカン科ミカン属
温州みかん

日本の代表的なフルーツ 甘さにこだわり量から質へ

皮がむきやすくジューシーな日本の冬の代表的な果物。量より質の時代を反映し、各産地では高糖系品種を導入、品質の向上に力を入れている。高糖系品種とは、糖度12 度以上、クエン酸0.9%以下の品質とされている。高糖系品種には青島、寿太郎、金峰、十万、大津4 号、南柑20 号、丹生系、紀ノ国など。品種だけでなく適地での栽培管理も重要となっている。旬は11 月~翌2 月。

POPはコレ!

  • 冬のビタミン補給に!カロテンはトマトの2倍!
  • みんな集まるお正月!温州みかんで家族団らん
  • 3個でクリア!1日分のビタミンC

市場シェアと出回り時期

温州みかん市場シェアと出回り時期

鮮度の見分け方

  • ヘタ枯れしておらず小さいもの
  • 腰が低く形が扁平なもの
  • 表面にツヤがあり、色の濃いもの
  • 浮皮の少ないもの

最適な保存条件

温度3~7℃、湿度85%。ダンボール内は高湿に経過するため、風通しのよいところで管理する。長期に保存するためには他の箱に移し、1~2段詰めにし、新聞紙をかぶせ微風を入れ冷所に置くこと。家庭での保存は風通しのよい冷暗所で。箱入りの場合は箱のフタを開けて保存すること。
なお、青島みかんは中身が先に色づく「内容先行」。産地では色回りが8分程で収穫され、自然の風を当てて水分を5%程減らしてから長期貯蔵する。

栄養&機能性

ビタミンC、カロテン、カリウム

カロテンが100g中1100㎍と緑黄色野菜より多い。カロテンは体の中で必要に応じてビタミンAに変換され、皮膚や粘膜を丈夫に保つ働きなどがある。

ONE POINTアドバイス

  • 果皮と果肉の間に隙間ができ、ふかふかする現象は「浮皮」と呼ばれる。浮皮は果皮の吸水によって果皮水分が高くなり、果肉がしぼんだことが原因で、秋に長雨に遭うと発生することが多い。
  • 小ぶりのほうが糖度が高いといわれる。
  • 食べ過ぎで手が黄色くなるのはβクリプトキサンチンが蓄積するためで、病気ではない。

売場づくりのポイント

  • 袋入り、またはネット入りで販売するが、ネットの場合は、黄色だとミカン本来の色が引き立たないので赤いものを使うとよい。
  • 糖度の表示、試食販売も有効。

Q&A

Q1 表面にキラキラした金粉のようなものが付いていたが、これはなに?
A. 被膜剤であるフルーツワックス(シェラック樹脂)がはがれたもの。食べても消化されずに、排泄される。
Q2 食べたら舌がビリビリしたが、これはなぜ?
A. 原因の特定は難しいが、果皮に石灰乳剤が付いていることがある。果皮をむく時この石灰乳剤が手に付着し、その手が舌に触れ刺激したと考えられる。ちなみに一度に食べる量が多いと口の中が荒れてしまい、皮膚がめくれ、酸の刺激が舌に強く感じることがある。
Q3 ヘタは小さいほうがおいしいといわれるが、それはなぜ?
A. ヘタの小さいものは道管と呼ばれる養分などを通す管が狭くなっている。狭いと果実に入った養分などが逆流しないため、おいしいといわれている。
Q4 みかんを手でもむと甘くなるといわれるが、それはなぜ?
A. 手でもむと果肉にストレスがかかり酸が減少するため、甘みを感じやすくなる。ただ、糖が増えるわけではないので、接客で説明する際には注意が必要。
Q5 傷んだみかんの「腐れ汁」にふれると、傷むのが早くなるが、対処はどうしたらよい?
A. 腐れ汁には腐敗菌がついており、ふき取っただけでは、果皮の細部に腐敗菌が残ってしまう。水洗いすれば、ふき取ったものよりも断然日持ちがよくなる。

食べ方のアドバイス

  • 皮は手でむくことができる。じょうのう膜(薄皮)や白い筋にはペクチンなどの食物繊維が豊富で、血糖値の上昇を抑える働きがあるとされるため、食べるようにするとよい。
  • 皮ごと冷凍して、冷凍みかんにしてもおいしい。自然解凍で、半解凍くらいで食べるとシャーベットのように食べることができる。

【品種紹介】

カラマンダリン

『甘みにコクがある、むきやすい晩柑』
【カラマンダリン】温州みかんとキングマンダリンの交配種。皮はごつごつとしているが、むきやすく、味が濃い。晩生で4月~5月に出回る

はれひめ

『オレンジの風味。薄皮ごとどうぞ』
【はれひめ】清見、オセオラと宮川早生の交配種。オレンジの風味がある。皮がむきやすく、薄皮も薄く食べやすい。愛媛県が主産地で、旬は12月~翌1月中旬

紅香(べにかおり)

『ぷるぷる果肉の数量限定柑橘』
【紅香(べにかおり)】清美、興津早生みかん、ページオレンジの交配種である天草をステビア栽培したもの。ゼリーのような食感。長崎県が主産地。旬は2月ごろ

オーラスター

『ヘタが星型!酸味強く加工用に』
【オーラスター】はっさく、ヒリュウ、晩白柚の交配種。がん予防の研究がなされているオーラプテンを多く含有する。酸味が強く加工向き

甘平(かんぺい)

『果肉ぎっしり。極薄の内皮』
【甘平(かんぺい)】愛媛県が育成したポンカンと西之香の交配種。形は扁平で皮がむきやすく、果汁が多く甘い。旬は2月中旬~3月上旬

湘南ゴールド

『湘南限定!風味さわやか』
【湘南ゴールド】神奈川県が育成した今村温州と黄金柑の交配種。皮は黄色。大きさは直径5㎝ほどで小さめだが、香りがよく糖度が高い。旬は3月下旬~4月

紅まどんな

『これはゼリー!?プルプル食感』
【紅まどんな】南香と天草のかけ合わせで、品種名は「愛媛果試第28号」。果肉がゼリーのようにプルンとしている。旬は11月下旬~12月

三宝柑

『紀州徳川家の献上みかん』
【三宝柑】原種は不明。皮は黄色く厚い。頭にデコポンのようなでっぱりがある。旬は2月中旬~4月。和歌山県が主産地

はまさき

『晩生では珍しい!薄皮の高級柑橘』
【はまさき】アンコール、マーコット、清美の交配種。オレンジ色の皮は薄く、糖度が高い。旬は3月~4月。佐賀県が主産地

はるひ

『さわやか風味。ひと足先に春』
【はるひ】興津46号と阿波オレンジの交配種。日向夏に似た風味を持つ。旬は2月ごろ

アンコール

『手でむける濃厚オレンジ』
【アンコール】キングマンダリンと地中海マンダリンの交配種。種が多いが、甘くむきやすい。深みがあり濃厚な味。旬は2月~3月

水晶文旦

『透きとおる、みずみずしい果肉』
【水晶文旦】文旦と晩王柑の交配種といわれる。文旦よりも果肉がやわらかめ。旬は2月~4月。高知県が主産地

出典

改訂9版 野菜と果物の品目ガイド

発行・発売   株式会社 農経新聞社
写真撮影株式会社 スタジオアトム
  • 大阪市市況情報地図情報における野菜と果物の写真並びに本ページは、大阪市中央卸売市場が株式会社農経新聞社の著作権の利用許諾を受けて複製し、公衆送信を行っております。
  • 本ページの内容の私的利用を除く、無断での複製(印刷・コピー等)・転載・出版・配布(無償を含む)は、書籍発行・発売元で著作権者の株式会社 農経新聞社の著作権の侵害となります。一部引用する場合は、必ず「出典 改訂9版 野菜と果物の品目ガイド」と明記して下さい。
  • ただし、POPの例は売場や企画書などでご自由に参考にできるものとし、出典の記載も不要です。
  • 出典の書籍に、万一、誤植・誤記などがあった場合には修正箇所を株式会社 農経新聞社ウエブサイト(http://www.nokei.jp)で掲載しております。