だいこん

属性:アブラナ科ダイコン属
だいこん

品種の多さが魅力!部位による食べわけ提案も

各地に根付いた地方品種が多く存在し、日本における品種数は世界で最も多いといわれる。国内では『古事記』にも記載がみられるほか、春の七草の「すずしろ」としても知られ、最も古くから親しまれている野菜のひとつ。
品種は青首系と白首系の2つが中心で、そのうち流通の主流は、根の上部が淡緑色の青首だいこん。栽培しやすいだけでなく、甘みが強く辛みが少ないため人気が高い。一方の白首だいこんは地方品種に多くみられ、辛みが強かったり身が硬いものが多いため、煮物や漬物、刺身のつまに利用されている。最近では強い辛みの品種や、赤、紫、黒、縞模様といった色とりどりの品種も消費者から注目を集めている。

POPはコレ!

  • ビタミンは皮にも豊富。捨てずに漬物、切干に
  • 大根おろしで消化をお助け。焼き魚、ステーキに添えて
  • コトコト煮込んで甘みじんわり

市場シェアと出回り時期

だいこんの市場シェアと出回り時期

鮮度の見分け方

  • 葉つきの場合は、葉がみずみずしいもの。葉を切り落としてある場合は切り口がみずみずしいもの
  • 皮にツヤとハリがあり、ずっしりとしているもの
  • 流通の多数を占める青首大根の場合、葉の近くは青く白い部分はしっかりと白くなっているもの
  • カットされているものは、断面を確認し、スが入っていないものがよい

最適な保存条件

温度0℃、湿度90~95%。水分の蒸散を防ぐと劣化を遅らせることができるため、フィルム包装するとよい。

栄養&機能性

葉酸、ビタミンC、カリウム

唾液などに含まれ、でんぷんを分解する消化酵素ジアスターゼ、肝臓などに含まれる抗酸化酵素カタラーゼなどを多く含む。これらは熱に弱いため生で食べるとよい。さつまいもの天ぷらや焼き魚に添える大根おろしは胃もたれも防ぎ、理にかなっている。

ONE POINTアドバイス

  • ひげ根の穴が縦に一直線に並んでいるものは、辛みが少ないといわれている。
  • 部位によって甘みや辛みが違うため、部位によっての使い分けをするとよい。「煮中・漬け尻・生かしら」といい、辛い下の部分は漬物に、甘い上部(頭・かしら)は生でサラダに、真ん中の部分は用途が広く、おでんなど量を使う煮物などにも。
  • 葉を成長させるため根から葉に養分が流れるので、葉つきのものは購入後すぐに葉を切り落とし、保存するとよい。

売場づくりのポイント

  • 風や日光に当たらない場所に陳列すること。
  • カット商品は、お客様の用途に合わせ、1/2カットまたは1/3カットにし、切り口はぴっちりとラップする。カットすると傷みが早いので陳列量だけ用意するように心がけるとよい。
  • 1本売りの場合、買い物袋に入れて持ち帰りやすいように、レジでの葉のカット、半分カットのサービスも喜ばれる。その場合、冷蔵庫の野菜室での保管をすすめること。

Q&A

Q1 輪切りにしたらスが入っていて、そこが青くなっている。薬品が使用されている?
A. スの周辺が青黒くなっているのは、老化に伴う生理現象で「青アザ症」と呼ばれる。
Q2 外部の黒いスジは何?
A. 栽培時にホウ素が欠乏すると外部に黒いスジとして現れることがある。
Q3 切ったら内部が薄い暗緑色になっていたけどなぜ?
A. ダイコンのトウがたつ(花茎が成長し、食用に適さなくなること)直前に中心部が変質し、薄い暗緑色になることがある。中心部が硬くなったり網状になる前兆。
Q4 輪切りにしたところ、翌日に断面が灰色になったのはなぜ?
A. 何らかの原因で生育中に障害を受け、組織の一部が壊死したため変色したと考えられる。理由としては、生理障害(生育条件の悪いほ場で連作した)、栽培障害(窒素肥料が多すぎた)、秋季の高温(10月には産地が冷涼地から平地に移るが、この時期に気温が高いと障害を受けやすい)など。

下ごしらえのポイント

  • 煮物にするときは下ゆでが基本。下ゆでは皮をむき、煮崩れないように切り口の角をとる(面取り)。厚めの輪切りにした場合は、裏面に浅く十文字に切り込みを入れておくと火の通りがよい。鍋にかぶるくらいの水を入れ火にかけ、竹串がとおり、全体的に透き通ってきたらゆであがり。
  • 葉は緑黄色野菜として食べるとよい。油との調理でカロテンが体内に吸収されやすくなるため、炒めるなどの調理がおすすめ。ビタミンCも豊富に含むので、根と一緒に浅漬けにしたり、さっとゆでてから細かく刻んで、菜飯や汁物の青みにしてもよい。
  • 皮をむいた場合、皮も捨てずに利用する。辛みがあるので、きんぴらや漬物に。

★オススメ料理

煮物/焼き物/汁物/炒め物/切干し/おろし/漬物/サラダ

【品種紹介】

亀戸大根

【亀戸大根】茎が白く、きめ細かい肌と肉質が特徴。生では辛みが強いため煮物、漬物にされる。江戸東京野菜のひとつで、出回りは10月中旬~翌4月中旬

練馬大根

【練馬大根】東京の練馬で栽培されている江戸東京野菜。80cmほどになる大型のだいこんで、主にたくあん漬けにされている。出回りは11月~翌1月

大蔵大根

【大蔵大根】江戸東京野菜のひとつ。もともと世田谷区の大蔵で栽培されていたもの。筒型で太さが均一で、煮崩れしにくいため、おでんなどの煮物に。11月上旬~12月下旬

紅しぐれ

【紅しぐれ】太く短い姿でグラデーションのある紫色が特徴。身の中心もやや紫がかる。この紫はポリフェノールの一種で、酢に漬けると赤に変化する

紅化粧

【紅化粧】皮は真っ赤だが、中は白い。20~25cmほどの中型のだいこん。辛みが少なめで、水分が多く歯ごたえがよい。サラダなどに生で利用される

青味大根

【青味大根】絶滅した「群大根」の変種。直径1cm、長さ12cmほどの小型のだいこん。京都では葉も青みに使うためこの名がついた。出回りは11月~翌1月

三浦大根

【三浦大根】神奈川県三浦半島特産。中太りの大型のだいこんで、市場には年末の一時期しか流通しない。煮物やなますなどに利用される

レディーサラダ

【レディーサラダ】辛みが弱く繊維質がやわらかいため、サラダなどに利用される。三浦だいこんと海外の品種のかけ合わせで、神奈川県三浦市で多く栽培される

紅芯大根

【紅芯大根】中国原産。水分が多く甘みが強い。生で食されるほか、カービングなどで皮ごと加工しやすいため、料理の飾りなどにも利用される

からす大根

【からす大根】ヨーロッパ原産の黒だいこん。黒い皮と対照的に身は真っ白。加熱すると甘くなり、ややホクホクとした食感になる。炒め物や煮込み料理に

辛味大根

【辛味大根】地方品種が多く存在し、白色のほか、赤や紫色のものもあるが、共通の特徴は短く辛みが強いこと。そばの薬味などにすりおろして利用される

ねずみ大根

【ねずみ大根】根が長くしもぶくれの姿がねずみの後ろ姿に似ていることから。辛味が強く、おろしても水分が出にくいため、そばやうどんの薬味に使われる

桜島大根

【桜島大根】鹿児島県で栽培される大型の丸だいこん。通常6kg前後だが10kgを超えるものも多く、世界最大といわれる。出回りは12月~翌2月。煮物や漬物に

出典

改訂9版 野菜と果物の品目ガイド

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写真撮影株式会社 スタジオアトム
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