もも

属性:バラ科サクラ属
白鳳

夏にぴったりののどごし。甘みはあるが低カロリー

果肉がやわらかく、ジューシーで優しい甘さで贈答用に好まれる。降雨量によって品質が左右されるものの、時期の短い夏果物の主力品目として消費は好調。日本には縄文時代に中国から渡来したともいわれているが、現在の品種のほとんどは明治時代に中国から導入された「天津水蜜桃」「上海水蜜桃」を品種改良したもの。また、品種の分類は果肉の色によるものと、果実と種の離れ具合によって「離核桃」「粘核桃」に分けられることもある。生食用は果肉が柔軟で多汁、酸味が少ないものが多い。雨の影響を受けやすいため、施設栽培や雨の少ない盛夏の時期の栽培量が多い。出回りは6月~9月末頃で、7月~8月が旬。

POPはコレ!

  • 食べごろは香りと色づき。熟すまでは常温で
  • 出回りは短い!気になる品種は今どうぞ!
  • ミキサーでスープに。もも&ヨーグルト&牛乳

市場シェアと出回り時期

ももの市場シェアと出回り時期

鮮度の見分け方

  • 縦、横のバランスがよいもの
  • 地肌がやわらかなもの
  • ずっしりと重みのあるもの
  • 果皮に傷のないもの

最適な保存条件

温度0℃、湿度85~90%。未熟果は0℃で貯蔵すると低温障害を起こすので避ける。0℃で約10日、5℃で5日、20~25℃では2日が限度。予冷出荷されているものは、店舗到着後高温にさらすと結露をおこす。過湿の状態で長く放置すると腐敗の原因になるので、ダンボールのふたを開けて余分な湿気をとばすとよい。家庭での保存は、熟していないものは常温で追熟させる。保存は紙袋に入れ冷暗所へ。冷蔵で内部褐変が起こるので、冷やして食べる場合は食べる数時間前にとどめたほうがよい。

栄養&機能性

カリウム、ペクチン、鉄

ビタミン、ミネラルはそれほど多くない。カリウムが100g中180㎎入っている。カリウムはナトリウムとの体内バランスを保ち血圧を下げる働きがある。

ONE POINTアドバイス

  • 皮を洗う場合は、傷がつかないように優しく。表面の毛茸(もうじ)によって水をはじきやすいので、ボウルに入れて浸しながら流水で洗うとよい。
  • 葉を乾燥させたものをお風呂に入れると、あせもやかぶれなどの症状を緩和するといわれている。ももの葉エキス入りの入浴剤などは、この作用を利用したもの。
  • 缶詰に利用されているももは、表面に毛茸がなく酸味が強いネクタリンが一般的。
  • 「当たりはずれが多い」といわれていたが、近年は糖度センサーを通しているものも多い。価格は高いが確実で、一般的に11度以上あれば甘くおいしいと考えてよい。

売場づくりのポイント

  • 遠隔産地のものは予冷出荷が一般化しているため、市場到着後、高温にさらすと、空気中の水分が凝縮して結露を起こす。有害ではないが、果実の状態で長く置くことは、腐敗の原因になるので注意。ダンボールのふたを開け、風にあてて余分な湿気を除くようにするとよい。
  • 手で持つ時は、指で押さないように手のひらにのせ、指で支えるように扱う。
  • 陳列する場合も、衝撃を吸収するウレタンフォームやフルーツキャップを用いて傷がつかないように注意する。
  • 消費者が商品を選ぶ際に果実を押さないよう「なるべく手を触れないようにしてください」と注意書きをする場合、言い回しには気をつける。未然に防ぐため、色を見て食べごろを確かめてから店頭に並べることも重要。
  • 時期により、旬の品種が変わるので、特性の違いを把握し、POP などで説明を加えるとよい。早生種は育成時の天候、品質により食味が悪いものがあるので、注意する必要がある。

Q&A

Q1 白金色の斑点は病気?
A. 表面にある白金色の斑点は果点と呼ばれるもの。太陽をたっぷり浴びたものに、小さい金色から白金色の点が現れる。甘みのあるももに多くみられるともいわれ、おいしさの指標にもなっている。
Q2 同じ品種でも産地によって色が違うのはなぜ?
A. 品種にもよるが「白鳳」などの場合、山間部に位置する山梨などでは紫外線が多く、昼夜の温度差が大きいため、アントシアニンの発生が促進され、色が鮮やかになるといわれている。
Q3 触った手で顔を触ったら痒くなってしまった。かぶれることがあるの?
A. ももの果皮は毛茸という細かい毛で覆われている。顔や腕の内側など皮膚の柔らかい部分にその毛が刺さり痒みを感じたのだと思われる。痒みを感じたら、こすらずに流水で洗い流すとよい。症状がひどいようだったら医師に相談すること。こうしたやっかいな毛茸だが、この毛は果実を雨や虫、病害から守ってくれる大切な役目も果たしている。ももに限らず果物の多くはアレルギーを起こすこともあるので注意が必要。

食べ方のアドバイス

  • 皮は果頂部(枝についていたのと逆側)から、果軸に向かってむくとむきやすい。
  • コンポートなどに果肉を硬いまま使いたいときは、沸騰させたお湯に10秒ほどくぐらせ氷水にとると皮がむきやすくなる。大きさで時間を加減する。
  • 種をきれいに外して使いたいときは、果皮の溝にそって包丁を一周させた後、両手で軽く持って種を軸にねじって、ふたつに割る。次に種をスプーンで取りだし、皮をむいて切り分ける。品種によって種離れが悪いものもあるので注意。黄金桃は種離れがよく、白鳳は比較的よくない。
  • 果頂部のほうが甘いので、縦にくし形にカットすると平等に分けることができる。
  • 皮をむくと褐変が始まるので、切り分けたらレモン汁をかけて早めに食べるとよい。
  • 甘くないももの場合は、コンポートにすると煮崩れも少なくおいしいデザートができる。また、オリーブオイルとレモン汁をかけて、サラダにするのもおすすめ。

【品種紹介】

白鳳

【白鳳】皮は鮮紅色になり、果肉は白くち密で繊維が少なく、やわらかな口当たり。食味は良好だが、日持ち性がやや劣る。主産地の山梨県で7月中下旬

あかつき

『日持ちする名品。甘くジューシー』
【あかつき】肉質はなめらかだが、しっかりしており、歯ごたえがある。甘みが強く、果汁も多い。7月下旬

夢白桃

『名産地、岡山の期待の新星』
【夢白桃】糖度は平均で15 度にも上る。渋みもほとんどない岡山県の新品種。8 月頃

日川白鳳

『さっぱり甘い。綺麗に色づく早生』
【日川白鳳】早生種の代表で、果汁が多く糖度も11 ~ 12 度と高め。山梨県で7 月上旬

ちよひめ

『今年の初もも。甘くなめらか』
【ちよひめ】果肉は白色、果皮は薄い赤と白のまだら模様になる。糖度は11 ~ 12 度で酸味も少ない。6 月中下旬

黄美娘(きみこ)

『濃厚な甘さ。希少な黄色いもも』
【黄美娘(きみこ)】皮が黄色でやわらかく、果汁も多く濃厚。山梨県で7 月下旬~ 8 月上旬頃

なつっこ

『高糖度!ねっとりジューシー』
【なつっこ】肉質はち密でやわらか。糖度が13 ~ 16 度と非常に高い。長野県で8 月上旬

川中島白桃

『硬めでも甘い!追熟でやわらかく』
【川中島白桃】糖度が高く日持ち性に優れる。シャキッとした歯ごたえ。福島県で8 月中旬

清水白桃

『上品な食味。白桃の女王』
【清水白桃】形がよく上品な甘みがある。日持ちがしないが、お中元に人気。岡山県で7 月下旬

黄金桃

『濃厚な味と香りは南国のフルーツ!!』
【黄金桃】果皮・果肉ともに黄色く甘い香りがする。濃厚な味。時期は8 月下旬頃

浅間白桃

『高品質でボリューム満点』
【浅間白桃】大果で外観、食感、食味の3 拍子そろう。大きなものは400g 以上に。山梨県で7 月下旬

一宮白桃

『果汁たっぷり。とろける味わい』
【一宮白桃】大果で丸みを帯び外観にも優れ、果汁が多いのが特徴。山梨県で8 月上旬

蟠桃(ばんとう)

『孫悟空も食べた?扁平でも味は抜群』
【蟠桃(ばんとう)】平らな、いびつな形が特徴で、甘く濃厚。中国原産。7 月中旬~ 8 月中旬

出典

改訂9版 野菜と果物の品目ガイド

発行・発売   株式会社 農経新聞社
写真撮影株式会社 スタジオアトム
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